「相手を魅了し、心を掴むためには何を磨けばいいんでしょうか?」

ースピーチコンサルタントをしていますとお伝えすると、この質問をいただくことが多々あります。応えはたった一つです。「感情のコントロール」です。

 

何よりも大切なのは、言葉に感情がのっているかどうか。何かを伝えるとき原稿を書きます。紙に書いている時も、感情がのる瞬間がありますね。その時味わった感情を、話して伝える瞬間に、ちゃんと出していますか?ということです。

スピーチでもセミナーでも、人前で話している状況であればどれも当てはまることですが、スピーカーの「心がそこにあらず」の状態になっていることが多いのです。自分で作ったはずの原稿(段取り)が、すでに別のものになってしまっている。つまりその状態では、誰がその原稿を読んだって、変わらないということです。

 

紙に書いた言葉というのは、書いた瞬間、一度自分から切り離されます。自分が書いているから、あたかも自分の言葉のように感じている可能性がありますが、書いて少しでも時間がたったら、それは自分の言葉ではありません。なぜなら、原稿を読むということは、書いた瞬間に味わった感情をもう一度味わわなければ、同じ言葉として感情が一致しないからです。

例えば、故人の話をする時。例えば、我が子の誕生の瞬間を話す時。例えば、初恋の話をするとき。何度も同じ話をしているはずなのに、感情が蘇ってきませんか?何度話しても、その都度心は震えていませんか?こういった、大きく振れる感情の波がある話は、書き言葉にしたとしても、自分の心の中で感情が蘇ります。

しかし、一方で強い感情を使わない話である場合は、一度書いてしまった原稿に対して、もう一度感情を呼び起こすことが出来なくなりがちです。だから、伝わるものも、伝わらない。心動くはずなのに、動かない。

「相手を魅了し、心を掴む」ためには、感情を動かすことを磨き、感性豊かに表現できる力を身に着けなければいけないのです。あなたは、話しながら、感情を動かしていますか?